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糖尿病の原因
1.膵臓の「インスリンを出す力」が弱いか、2.せっかく出たインスリンが効きにくい体になってしまったか、です。
1は遺伝と関係し、2は生活習慣と関係します。どちらか片方が原因で糖尿病となる人もいますが、両方が原因で糖尿病になる人もいます。
1.膵臓の「インスリンを出す力」が弱い
血糖値を下げるホルモン・インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌されています。
血糖値が高いと、血糖値を無理やり下げようとインスリンを余分に出すため、膵臓はどんどん疲れて「インスリンを出す力」が弱っていきます。
この状態は糖尿病になる前の「耐糖能異常(糖尿病の予備軍)」の段階ですでに始まっていて、年々進んでいき、現代の医学ではもとに戻すことは難しいと考えられています。
実は糖尿病の初期と診断された時点で膵臓の力は、すでに健康な若い人の40~50%程度にまで落ちていると報告されています。
「耐糖能異常」や「境界型糖尿病」と言われた人もすでに低下が始まっていると考えてください。
「インスリンを出す力」が弱っていくのを遅くする一番の方法は食事・運動療法です。また体に合った適切な薬をのむことも膵臓を助けてくれ、予備軍の人が糖尿病になる確率を減らしたり、糖尿病の悪化を防ぐというデータがあります。
日本人は遺伝的にこの「インスリンを出す力」が弱い民族といわれています。欧米人は肥満が進んでから糖尿病になる人が多いですが、日本人はやせていても糖尿病になる人が多いのはこのためです。
また「インスリンを出す力が弱い」ことは親から子へと遺伝します。糖尿病の親を持つ人は糖尿病になりやすいのはこのためです。もちろん子が親と似たような食事習慣をとりやすいことも糖尿病の発症と関係しています。
親は糖尿病がなかったのに糖尿病になる人もいます。親は車やエスカレーターの少ない時代であったため運動の機会が多く糖尿病にならなかっただけなのかもしれません。
2.インスリンが効きにくい体になった
せっかく十分なインスリンが分泌されていても、その効きめが悪くなってしまう人がいます。内臓脂肪が多い人や筋肉の少ない人です。
内臓脂肪が多い人
ウエストが大きい人はウエストが小さい人よりも、血糖値を下げるためによりたくさんのインスリンを必要とします。
インスリンの効きめを良くするためには、体重が4%程度減るだけでも効果があるという報告もあります。
皮下脂肪は血糖値の悪化とあまり関係がないようです。
筋肉の少ない人
筋肉が多いとインスリンの効きが良くなります。筋肉は寝ていても熱を作り続けるためエネルギーを消費してくれます。
やせていても糖尿病になる人は、運動不足による筋肉量の減少が原因である場合があります。
せっかくダイエットをして体重が減っても、脂肪だけでなく筋肉の量も減ってしまうとかえって糖尿病が悪化することもあります。
※「膵臓がインスリンを出す力」や「インスリンの効きにくさ」はブドウ糖負荷試験(OGTT)で測定することができます
詳しくはこちら → 「糖尿病の検査」
3.そのほかの原因
1.2.の原因がベースにある人に以下のような条件が重なると糖尿病が急に悪化します。
・のどが渇いたからとジュース、コーラなどの糖の入った飲み物をたくさん飲む 一気に糖尿病が悪化して入院にいたる場合があります(ペットボトル症候群)。のどが渇いた時は、水かお茶(無糖)を飲みましょう。
・体のどこかに感染がある 歯周病、インフルエンザ、肺炎、筋肉に膿がたまっている、皮膚の感染が悪化して蜂窩織炎(ほうかいしきえん)になっている、
・体のどこかにがんがある 癌(がん)細胞の成長はインスリンの効き目を悪くするため、糖尿病の発見をきっかけに癌(がん)がみつかることがあります。
・妊娠 妊娠をきっかけに糖尿病になったり、妊娠したことでもともとあった糖尿病が悪化したりします。
・ステロイドを飲む 他の病気の治療のために飲み始めたステロイド薬が血糖値を上げてしまい糖尿病が悪化します。数日以上ステロイドを飲む場合は注意が必要です。
(このページでは糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病の原因について記載しています。1型糖尿病についてはこちらをご覧ください。)
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