名古屋の糖尿病専門医

糖尿病と新型コロナウイルス

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糖尿病の人が新型コロナウイルスに感染すると死亡する確率が高い?

「糖尿病の人が新型コロナウイルスに感染すると死亡する確率が高い?」
最近、このような質問をうけることが多くなりました。

2020年2月4日の中国国家衛生健康委員会(NHC)の発表では、新型コロナウイルスによる死者の80%は60歳以上の高齢者で、75%には以前から糖尿病などの基礎疾患があった、とされています。
糖尿病の人がインフルエンザや新型コロナウイルスに感染すると、糖尿病がない人よりも、病態が悪化しやすいと考えられます。これは、高血糖により免疫(ウイルスや細菌から体を守るはたらき)の力が落ちるためです。白血球(外部から体内に侵入した敵をやっつける兵隊の役割をする)が走るスピードが遅くなり、白血球が細菌・ウイルスを殺す力も落ちます。
血糖値が高い人(特にHbA1cが8%以上の人)は、インフルエンザに感染しやすく、感染すると血糖値が正常な人よりもインフルエンザ肺炎やインフルエンザ脳症に発展しやすいく、死亡したり後遺症が残ったりする場合があります。
また糖尿病の人が感染を起こすと、インスリン感受性の低下がおこり、糖尿病自体も急に悪化(急性増悪)して血糖値が普段以上に上がってしてしまうことがあります。そのような状態では、糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群となる危険が増えてしまいます。糖尿病性ケトアシドーシスや高浸透圧高血糖症候群は死亡に至ることがある大変危険な状態です。これは1型糖尿病、2型糖尿病、いずれの場合でもありうることです。
高い血糖値は感染の危険を増やし、感染は血糖値を上げます。糖尿病のある患者さんは、このような危険から身を守るために、普段から血糖値を良い状態にコントロールする必要がありますし、手洗い・うがい・マスク着用などの日常的な衛生管理をしっかりとすることも大切です。

新型コロナウイルスと糖尿病に関する詳細なデータはまだ十分には報告されていませんが、おそらくインフルエンザウイルスなどの他の感染症と同様に、糖尿病があると重症化しやすいと考えられます。

中国湖北省で7,337人の新型コロナウイルス感染症の患者を調査した結果、血糖値を70~180 mg/dlの範囲内で良好にコントロールしている患者は、180 mg/dlを超えている血糖コントロールが不良の患者に比べ、死亡リスクが低いことがわかりました。HbA1cが7%以上の人は食後の血糖値が180 mg/dlを超えていると考えられます。新型コロナウイルスに感染してしまった時のために、ふだんから血糖値を下げておくようにしましょう。食事・運動習慣を見直し、主治医と相談して適切な薬物療法を心がけましょう。

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→糖尿病とは?