名古屋の糖尿病専門医

痛風・高尿酸血症

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痛風発作(急性痛風関節炎)

痛風発作は尿酸の結晶が関節のすき間にたまって痛くなる病気です。血液中の尿酸値が高いことが原因で起こります。
アルコールをたくさん飲んだ後などに、急に関節が赤く腫れあがり激痛を引き起こします。特に足の親指の関節に多いですが、それ以外の関節でも起こります。

最も痛い時は、痛くて痛くて、少しも動くことができず、風が吹いても痛いほどであることから「痛風」と呼ばれています。
痛風発作は、関節の腫れなどを診察で確認し、血液検査で尿酸値を測定して診断します。診断されるとその日から、痛みをとめる薬(NSAIS、グルココルチコイド、コルヒチンなど)を内服して発作が収まるのを待ちます。発作の時に、尿酸値を下げる薬をいっしょに始めるとかえって痛みが強くなることがあるため、尿酸値を下げる薬は発作が収まってから始めます。飲酒は痛みが治まるまで必ずやめましょう。

尿酸値がいくつ以上となると痛風になるのでしょうか?一般には尿酸値が9 ㎎/dl 程度で痛風となりますが、7~8 ㎎/dl の人でも痛風になることがあります。
痛風発作の時に生じた関節のすき間にある尿酸の結晶は、発作が収まっても完全には消えていません。溶けてなくなるまでに長期間かかることが確認されています。いったん痛風になった人は、尿酸値が6 ㎎/dl未満を5年以上程度持続しないと、尿酸値があまり高くなくても再び痛風発作を起こす場合があります。発作が収まったからと言って油断せず、食事療法や薬で尿酸値が上がらないように注意しましょう。

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高尿酸血症

尿酸値の正常値は検査を受ける施設によって多少の違いはありますが、およそ男性3.6~7.0 ㎎/dl、女性2.3~7.0 ㎎/dl です。
尿酸値と寿命の関係を検討した研究(海外)では、もっとも寿命が長かったのは尿酸値4.5~5.2 ㎎/dl の人々だったと報告されています。
尿酸値が高い状態を放置すると、腎不全の原因となる場合があります。蛋白尿も高血圧症も糖尿病もないのに、クレアチニン(Cr)が上がってきた場合は高尿酸血症が原因である場合が多いのです。食事療法や尿酸値を下げる薬を飲むことで、腎不全の進行を止めることができる場合があります。

高尿酸血症・痛風のガイドライン第3版(日本痛風・尿酸核酸学会)では、腎障害をもつ高尿酸血症に対して、腎臓を守る目的で尿酸を下げる薬を使うことが、世界で初めて推奨されています。

高尿酸血症の食事療法

尿酸値を下げるためには、ビタミンC、DASH食(高血圧を防ぐ食事療法)、地中海食、果物、大豆食が有効であったと、多くの研究で報告されています。
野菜(特に色の濃いもの)、海藻類、大豆製品(豆腐や枝豆など)、低脂肪乳、低脂肪ヨーグルトなどを増やし、アルコール、脂の多い肉を減らしましょう。赤身の肉や、鳥の胸肉などが脂が少ないです。糖尿病がない人は、果物を増やすことも良いです。
コーヒーが痛風を減らしたという報告もあります。
海藻類や野菜を多く食べると、尿がアルカリ性となり、尿酸が尿に溶けやすくなり多く排泄されます。尿検査で尿pH値が6.45以上となるようにしましょう。
また肥満や糖質の多い食習慣は、血液中のインスリン濃度を増やす原因となり、尿酸の尿への排泄を減少させます。単に体重を減らしたり、炭水化物(米、パン、麺類、お菓子)の量を少し減らすだけでも、尿酸値が下がる可能性があります。

・DASH食とは、カリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、たんぱく質を増やして、飽和脂肪酸とコレステロールを減らす食事療法で、主に米国で高血圧症の治療のために用いられています。
・地中海食とは、ヨーロッパの地中海沿岸の国の伝統的な食習慣で、心筋梗塞やがん、認知症を減らすと考えられています。オリーブオイル、ナッツ、魚、全粒穀物、野菜、果物、豆類を多く食べ、肉や卵を少なくします。しかし魚介類や果糖が多すぎると尿酸値が上がるという報告もあるため注意しましょう(特に魚卵)。

当院では尿酸値を下げるための食事について、管理栄養士と栄養相談をしていただくことができます。

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